コンシェルジュのRachelです。主にHSBC香港やスタンダードチャータード銀行、恒生銀行など、香港で開設できる銀行口座に関するサポートを担当しています。
今回のテーマは今話題の「純金積立」にスポットを当ててみたいと思います。アクセサリーとして用いられている「金(ゴールド)」。投資資産として金を積立購入する「純金積立」が注目を集めています。経済が不安定な時こそ、資産運用の手段として有効な「純金積立」に着目してみましょう。
純金積立が今注目されている訳
外貨を保有したり、株式、債券などで資産運用をしている方も多いと思いますが、これらは国家や企業によって価値を保障しているものです。そのため、国や企業が危機的状況に陥った場合、これらは紙切れ同然のものとなってしまいます。その一方で金は、金そのものに価値があります。つまり国の情勢や企業の財政に関係なく、その価値が保障されています。そのため、世界的に通用する一種の通貨(リアルマネー)と言えます。
世界的に見ても、資産の一部を金で保有しておくことは常識であり、国によっては、金のアクセサリーを購入し、身に付ける習慣があるところもあります。世界的な不況のあおりをいつ受けるかもしれない今日、資産として金を持つと言う方は増加しています。万が一のことを考え、私たちも金の価値を再確認し、資産を守ると言う意味でも純金積立のような方法を考えておく必要があると言えるでしょう。
純金積立とは
純金積立とは、毎月一定の額を決め、その金額を元手に少しずつ金を購入し、積み立てていく投資です。純金積立を取り扱う企業によって、投資する金額の設定は違っていますが、小口投資としては1,000円程度から始められるものもあるため、気軽に始めることのできる投資と言えます。
口座を登録しておくことで、面倒な手続きもなく、毎月決まった金額が口座から引き落とされ、金購入に回せるので、煩わしさを感じることもありません。皆さんご存知の通り、現在、金の価値は急成長を見せています。もちろんこの価値の変動により、価格が下がることも考えられますが、他の投資と違い、金自体の価値がなくなってしまうことはまずありません。長期的な資産運用として、とても魅力的なものと言えます。
純金積立はリスクの低い投資
株式などと言った商品に投資した場合、リスクは常について回ります。専門的知識をもってしても、元本割れと言ったケースも考えられるため、投資先として安心できるものではありません。金も毎日レートが変動するため、「同じようにリスクが高いのでは…」と考える方も少なくありませんが、純金積立は株式などと違いリスクの低い投資先と言えます。
純金積立では、毎月一定の金額を決め投資を始めますが、その積立金で毎月金を購入する「ドルコスト平均法」と言うものを採用しています。つまり金の価格が高い月にも、もちろん購入しますが、金の価格が低い月にも購入すると言う訳です。もちろん、金の価値が高い月には多く購入し、低い月には少なく購入すると言った調節も可能です。毎月一定量を決めて金を購入するよりも、1gあたりの購入金額が安くなり、平均して金の購入を分散することで、金の価値が下がった場合でも安定した運用ができる仕組みとなっているのです。
純金積立は、同じ投資と言っても株式等のリスクとは大きく異なる訳です。長期投資として考えても、大きな損失を被ることはなく、安定した投資が望めます。また、純金積立は「ドルコスト平均法」ですが、「スポット購入」と言う方法も併用でき、金の価値が上がるのに合わせて、資金の許す限り買い付け金額を増やすことができます。状況に応じた投資が出来る点も純金積立の魅力です。
純金積立のメリット
純金積立にはもっと数多くのメリットがあります。純金積立で考えられるメリットを順追って見ていきましょう。
少額から投資が始められ、リスクが分散できる
始めからまとまった金額を用意できなくても、純金積立は始められます。商品や取り扱っている企業によっても投資金額は異なりますが、お小遣い程度の金額から始められる商品もあります。毎月一定金額での申し込みが必要ですが、先ほど述べたように、ドルコスト平均法で金の購入を分散する仕組みなため、リスクを最小限に抑えることができます。
金の価値はゼロにはならない
外貨投資や株式、債券などと違い、他に投資を委ねるものではありません。もちろん金も毎日レートの変わるものですから、多少の損失は考えておく必要のあるものですが、世界的な情勢がどう変化しても、金自体の価値がなくなることはまずありません。つまり金の価値自体がゼロになる可能性は極めて低いと言えるのです。
不況に強い
戦争やリーマンショックなどの影響により、株式などは大きく下落してしまい、ほとんどの金融商品はその価値を下げてしまいますが、純金はその普遍的な価値からリスクヘッジ先として投資金が流れてくるため、反対に価値が上昇する傾向があります。投資を分散させる方向先としても純金投資は価値あるものと言えます。
税金がほとんど非課税
純金積立の場合、消費税は購入時に発生しますが、売却の時にも上乗せして精算されることで差し引くと気にする必要のないものとなります。また、長期的運用形式の多い純金積立では利益も課税されるほどの金額になることが少ないため、所得税もほぼ考える必要は要りません。個人での運用の場合、譲渡所得となると思いますが、保有期間が5年を超える場合、長期譲渡所得扱いとなり、課税される金額は半額と定められているため、お得と言えます。
手間暇がかからない
純金積立の多くの商品は、口座を登録することで積立金額が自動で引き落とされる仕組みを採用しており、わざわざ店舗に出向く等の必要が一切ありません。簡単に取り扱える投資商品と言えます。
地金、宝飾品などに交換が可能
純金積立をしたお金は、金市場公認の地金に交換できる上に、他にも金貨、アクセサリーと言った金製品なら何でも交換が可能です。積み立てた金を現金化することも、もちろん可能となっています。
2つの保管方法が選べる
純金積立は取り扱っている企業にもよりますが、保管方法が選べるようになっています。万が一取扱会社が破綻した場合などに備え、積立金を保証してくれる「特定保管」と利益は望めるが保証のない「消費寄託」の2種類から自由に選ぶことができます。取り扱い会社によってまちまちですので、必ず確認して決めると良いでしょう。
純金積立のデメリット
メリットも多い純金投資ですが、その反面、投資側から見るとデメリットも存在します。デメリットを良く頭に入れた上で、自分に合った投資なのかを考えておくと安心です。今一度ご自身の資産運用に合っているのかを確認してみましょう。
ローリターンである
純金積立は「ドルコスト平均法」を採用し、リスクの少ない安定を重視した商品ですが、その一方利益、リターンの少ない商品とも言われています。
元本割れの可能性もゼロではない
安定した金融商品であるため、滅多なことでは元本割れの心配はありませんが、絶対に保証されている商品でもありません。また、いったん投資を始め、短期間で投資をやめた場合は「ドルコスト平均法」の十分な効果を得ることができないため、損をしてしまう可能性がありますので注意しましょう。
純金積立には会費や手数料が発生する
手数料などは他の金融商品同様、純金積立でも会費や手数料が発生してしまいます。純金積立を取り扱う企業によってその金額は変わってきますが、投資とは全く関係のない部分でもありますので、出来る限りお得な取扱い企業を選択する方が良いでしょう。
取扱い企業によっては破綻した場合の積立保証がないこともある
メリットとして紹介した保管方法ですが、これが仮に「消費寄託」である場合、取扱い企業が破綻に追い込まれると積立の保証はされません。「特定保管」として取り扱われている商品ですと保証が付いていますので、積立は保障されることが約束されます。リスクを心配するか、しないかによって取り扱う企業を選ぶと良いでしょう。
スプレッドがある
スプレッドとは金融商品において、買いと売りの間に生じる価格差、金利差を言いますが、これは純金積立にも言えることで、ある意味、取扱い企業の手数料と言ったものになります。買いと売りの双方の取引を一度にした場合は、必ず損を被ることになります。取り扱う企業によって、このスプレッドは設定が異なるため、必ずチェックしたいポイントと言えます。
現物買いとの比較
現物として、地金や金貨などを購入する場合、純金を手元に置いておくこととなります。家の金庫などでも管理は可能ですが、盗難や災害のリスクは考えておく必要があります。防止策として、貸金庫や保険などの対策がありますが、これらに掛かってくる費用も計算に入れておくことが大切です。やはり純金積立の方が、維持費も必要ありませんし、安心安全な金資産運用と言えるでしょう。
まとめ
2000年以前は金の価格も不安定で、投資先としてリターンを期待できる部分は少なかったのですが、今現在の金の価格は、上昇傾向にあります。2000年に1g1,000円ほどだった金も価格は、2005年には1,600円ほど、2010年には3,500円ほどと右肩上がりです。この金の価格上昇は、新興国の需要の増加やリスクの分散先として、今後も長期的に続くことが予想されています。リーマンショックや欧州危機などがあり、世界情勢が不安定だからこそ、ローリターンと言われた金も利益を期待できるものとなってきています。純金積立は、毎月の積立額と合わせて、市場の金の価格が安い時にスポット購入することで、ハイリターンを期待できる投資に変わりつつあります。短期的に投資する方も増えているほどです。しばらくの間は、高リターンを望めるアクティブな投資先と言えます。今後の資産運用でお悩みの方や分散投資をお考えの方は、ぜひこれからの投資先として「純金積立」を考えてみてはいかがでしょうか?
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