コンサルタントという仕事上、これから海外に進出したいという方の相談ばかりではなく、最近では、海外ですでにビジネスを始めている方の相談も少なくない。
その多くは今後のアジア展開をよりシンプルにするための交通整理と税制対策という目的で日本から香港へ本社を移転できないか?という依頼である。
この場合、方法としては二つのことが挙げられる。
1.日本本社の清算⇒香港法人へ業務と人を移管
(清算の際に発生する残余財産配分の株主個人所得税がかかる。)
2.日本本社の株式を香港法人が買取⇒日本法人を香港法人の子会社とする
(売却時の株主個人所得税に注意)
いずれも一旦は日本側で税金が発生することは回避できない。
特に精算の際の残余財産が多かったり、売却価格が高かったりするとその税金は非常に高額になるので注意が必要が必要である。
また本社移転後も日本側で支店、営業所などが必要な場合は以下の問題がある。
香港へ会社を本店移転する場合、日本では、本店所在地で登記が要求されている。そのため本店住所地が日本にない場合には、登記ができない。日本では、この時点で外国会社となる。
外国会社が、日本で取引を継続する場合には、日本の代表者を定めて代表者の住所を登記するか、日本で営業所を設置して営業所の住所を登記する必要がある。
ただし、この日本の代表者は、外国会社との間で、連帯無限責任が発生するため、この点で、間接有限責任を望む人には、メリットがないと言える。また日本での事業を主と考えている場合には、外国法人の日本での取引は認められていない。
税金面では日本の代表者か営業所は、日本での売上げの申告が必要で、その税率は日本と同じであり、その営業所の従業員の社会保険料等も日本の法律が適用される。
上記の情報からまとめると、本社を移転させる場合、日本では支店、営業所を作っていないケースとして、日本側で発生する業務については、どこかに委託している場合など、香港での税制面の優遇などを享受できるといえる。
何が言いたいかというと、この「どこかに委託している」ことで香港での税制を適応することができるということである。
参考情報提供者
・田端綜合法律事務所 弁護士 村井柾文(むらいまさふみ)氏
・Argent Consultancy Company 様
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