「香港個人所得税率」と調べると15%,16%,2~17%の累進課税,2~20%の累進課税などさまざまなページがあり、その結果、「自分で調べたけどよくわからない。」と言ってたずねてくるケースがよくある。これは実はどれも間違っていないのだが、『香港は税率15%だから日本より安くて住民税などもないんだよ。』という情報のみが先走っているために混乱する。
まず、香港という国はその年度ごとによって税率を変える。
政府が黒字になった時には低くしてくれる。
また香港の税制を例をあげて説明すると以下のようになる。
30歳、既婚、子供1人、香港での収入が870,000HKD(日本円で約12,180,000[14円換算])
20013年~2014年の香港の個人所得税の税率は基礎控除額を除いた所得が
40,000HKDまでの分に関しては2%
40,000HKD~80,000HKDまでの40,000HKD分に関しては7%
80,000HKD~120,000HKDまでの40,000HKD分に関しては12%
120,000HKD以上の分に関しては17%が課税される。
標準課税(STANDARD RATE OF TAX)は15%
*これについては後で説明する。
また控除額がこの場合、既婚で216,000HKD、子供1人で60,000HKDとなるので合計276,000HKDとなる。
870,000HKD(収入)-276,000HKD(控除額)=594,000HKD(課税対象額)
この594,000HKDを上記の累進課税によって計算していくと
40,000HKD×2%=800HKD
40,000HKD×7%=2800HKD
40,000HKD×12%=4800HKD
(594,000HKD-120,000HKD)×17%=80,580HKD
となり
800HKD+2,800HKD+4,800HKD+80,580HKD=88,980HKD
従って88,980HKDが所得税になる。。。。
基礎控除額を除いた594,000HKDに標準課税の15%をかけると
594,000HKD×15%=89,100HKD
となり累進課税で計算した88,980HKDよりも高くなっているのでこの場合は塁審課税の88,980HKDが所得税となる。
もし標準課税が累進課税を下回れば、標準課税額が所得税になる。
つまり累進課税で計算した金額、もしくは標準課税の15%、どちらかで計算して少ないほうがその人の支払う所得税になる。
『低いほう』というのが香港政府が偉いなあと思うところで、この例だと1,000万の収入がある人で110万円ぐらいの税金で済むことになる。
このほかにも扶養にお父さんやお母さん(HKID保有の居住者の場合)が入った場合も控除があるし、教育にかかった費用、住宅ローンの金利に対しての控除もある。
その他にはチャリティー(慈善事業に対する寄付)も控除の対象となる。
こういうのをうまく活用するとこの例で85,000HKDぐらいの税金で済むのではと思います。
さてそこで日本の場合では、、、となるのが普通ですが、日本の税金は比較するまでもなく高いのはわかっているので、そういった比較は他の方にお任せします。
ここで私が言いたかった(感じた)のは表面的な議論で語られるような「税金を安くしたから人とお金が集まってきてるんだ」というようなものであれば香港よりも税金の安い地域はいくらでもあるわけです。
でもこの洗練された香港の仕組みをきちんと知って利用することができれば「税金を減らす」ということだけで無い使い方ができるということです。
*香港で勤務または就業したことから発生する収入に対して課税されるので日本で別に収入があった場合でも合算されたりすることはありません。税金の法律は細かく控除条件などもあるので詳細は省いております。
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