9.9%の「銀行預金課税」2013年3月16日、キプロスで起きた預金封鎖を知る

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こんにちは、ノベルエラのマーテンスです。マーケティング戦略を中心に、ノベルエラの新規事業領域を担当しています。

さて、読者の皆様は、2013年3月16日にキプロスで預金封鎖が行われたことをご存知でしょうか?日本のメディアでは、キプロスの預金封鎖についてあまり報道されていないようなので、本日はキプロスで起きた預金封鎖について触れてみたいと思います。

日本で過去起こった金融封鎖

日本は太平洋戦争で、国家予算の約70倍の戦費を使いました。もちろん当時占領していた地域の国策金融機関から調達された資金もありましたが、国内においてはそのほとんどが、日銀の国債の引き受けで調達されていました。これはいわゆる国民からの借金です。GDP(当時はGNP)は政府債務の2倍の水準となっており、今とほぼ変わりない値です。

ですが、日本経済の水準は、現在と比較すると高くありませんので、完全に容量オーバーとなっていました。戦時中は政府により価格統制が行われていたため、インフレとはなりませんでしたが、戦争が終了することで隠していたインフレが一気に明らかになっていきます。インフレと債務を抑え込むために、政府は国民のお金に頼る方法を選択します。それが戦後の預金閉鎖です。預金封鎖は1946年の2月に突然実施され、国民は大混乱となりました。

このような預金封鎖は決して珍しいことではありません。世界各国でも突然の預金封鎖により、国民がパニックとなる事態が数多く起きています。

2013年3月16日、キプロスで預金封鎖が行われる

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2013年3月16日に起きたのが、地中海に浮かぶ島キプロスで行われた預金封鎖です。キプロスは、かつてオフショア金融センターとして多大な預金を保有した国でした。特にロシアの富裕層からの預金が多くを占めており、GDPの800%ものお金が集まっていたと言われています。

私たちが海外で口座を持つ際に、税率が低く、免税も期待できるオフショア銀行でこれほど栄えていた国が、どうして金融封鎖と言う手段を取ることになったのでしょうか?これから海外に口座を設ける時にも、そして銀行を選択する際にも、是非参考にしていただきたい点をキプロスの事例を基に一緒に考えていきましょう。

オフショア銀行とは

まずはキプロスの預金封鎖について説明する前に、簡単に、オフショア銀行とはどのような銀行を指しているのかを見ていきましょう。

銀行には大きく分けてオフショアと呼ばれるものと、オンショアと呼ばれるものに分けることができます。オンショア銀行とは、日本で私たちが一般的に窓口で手続きを行い利用するサービスを主としている銀行を言います。それに対し、オフショア銀行とは、世界各国の預金者を対象にしている金融機関です。今、オフショア銀行として運営されている金融機関の中には、窓口さえも持たず、郵便や電話、FAX、インターネットバンキングなどを主体としているものも増えてきており、わざわざ海外にまで出向いて口座を開設する必要もなくなってきています。タックスヘイヴンと呼ばれる税率や免税が期待できる地域において、運営され、海外の多くの企業家が利用しています。

キプロス、オフショア銀行の結末

オフショア銀行などの小口銀行預金は、一般的に貸し付けを基に安定した金利で運営されており、市場投資といった金融市場の影響を直接受けることがなく、滅多なことでは預金は流出しません。そんな安心感からキプロスには、ロシアを始め多くの人や企業から預金が集まっていました。ですが、キプロスは小さな島国と言うこともあり、これと言った大口の貸付先がなかったのです。

キプロスの銀行は致し方なく国外に運用先を見つける必要性がありました。キプロスはもともと、歴史的にギリシャとの繋がりの強い国でした。そのため、この運用先として当然ギリシャを組み込むことになります。ギリシャの国債を運用の1つとして取り入れることにしたのです。その結果、皆様もご存じのとおり、ギリシャは経済破綻を起こし、キプロスの銀行は取り返しのつかない損を被ることになってしまいました。

欧州連合(EU)がキプロスへの金融支援を決定

この損害を埋めるにあたって、EUとIMFはキプロス銀行に預金している者にも負担してほしいとの意向を明らかにしました。つまり、この当時の具体的方法は、以下のように決定されたのです。

  • EU並びに国際通貨基金(IMF)は100億ユーロを支援する
  • キプロスの銀行預金者から、58億円の預金税を取る

といった、2方向からの金融支援決定となりました。

このニュースが正式に発表される前に、預金封鎖はすでに始まっていました。オンライン取引やATMが一切ストップしていたのです。なぜなら、この情報が初めて噂として挙がったのは、実は金曜の夜で、土日はもちろん金融機関の運営がされていませんでした。いつもは土曜日でも開店しているはずの小口金融機関もすべて封鎖され、政府はこの期間を利用して月曜までに課税を行うことを16日土曜日に正式発表したのです。この方針が発表された時には、すべての人が預金を移動、下ろすことができない状態となっていました。お金を下ろせない期間を利用して、税を課すと言う強制とも言える手段を取ったことになります。

そして58億円の預金税の内訳は次のように決定されていました。

  • 10万ユーロ以上の預金額に対しては、9.9%
  • それ以下の預金額に関しては、6.75%

の預金税を自動的に支払うこととなってしまったのです。

課税がなされる月曜(18日)はキプロスの銀行は休業日となっており、火曜日(19日)に銀行が営業を始めた段階で多くの人が銀行に出向きましたが、時すでに遅く、利用者の預金額からすでに課税分の金額が消えてなくなっていたのです。

10万ユーロは約日本円にして1,100万円前後となりますから、2,000万円預金があったと計算した場合、週明けには200万円の預金が、3,000万円あった場合には300万円の貯金が消える計算となります。例え、口座を分散していたとしても、キプロス国内のすべての口座が対象となっていたため、避けることのできない処置となったのです。

このキプロスの金融封鎖は全預金のうち課税対象となる10%弱の預金が対象となりましたが、預金への課税は、過去ギリシャでも行われなかった異例の処置となりました。

IMFの管理下に置かれるということ

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日本が仮に財政破綻し、IMFの管理下に置かれる場合には、財政再建プログラムと言うものが存在しています。このキプロスの金融封鎖のような事例が起こる可能性は、もちろん在り得ることなのです。財政再建プログラムには、預金は一律ペイオフされ、つまり保証額である額が支払われるとともに、次の段階として預金額を30%から40%カットするとの項目が組み込まれています。これが実施されることになれば、キプロスの例よりも多大な額となります。日本の財政破綻が疑われている今、決して起きることのない事態と安心できるものではありません。

まとめ

政治情勢が安定していない国では、キプロスのように法律が突然変わるというリスクが当然高くなります。世界各国に存在するタックスヘイヴン(税金回避の金融機関)の中でも日本の多くの企業や投資家が利用しているオフショア銀行としては、香港を代表として、シンガポールやルクセンブルクなどが挙げられますが、こうしたリスクに関した情報はキプロスの例でもあるように個人の手で集めることは、困難であると言われています。

各国の経済情勢に詳しい、または海外口座などに明るい企業から、直接アドバイスを受けることが大切です。個人口座、法人口座を開設しようと検討している場合、オフショア、オンショア銀行を問わず、専門家の意見を参考にする必要性があると言えるでしょう。

弊社でもこうしたご相談は随時承っております。海外口座の開設や、海外法人の設立、資産運用などについて、いつでもお気軽にお問い合せください。

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